試験研究

目的

 当財団の定款第4条第1項第(2)号に定める事業の一環として、工業技術の発明考案の実用化の試験研究及び提言事業を実施し我が国の工業技術水準の向上に寄与することを目的とする。

実績

令和4年度共同研究(慶應義塾大学理工学部応用化学科 奥田知明教授との共同研究)

1. 研究テーマ

「粒子状物質の有害性評価のための気中粒子操作分析技術の応用」

2. 研究の目的

 本研究では、慶應大が保有する気中粒子操作分析技術(例えば、バーチャルインパクターやサイクロン、ただしこれらに限らない)を粒子状物質の有害性評価に応用する技術を、天野工技研と共同で開発することを目的として試験研究事業を実施した。

3. 今年度の事業内容

3.1. 小型可搬開閉型サイクロン装置の共同製作

3.2. 小型開閉型サイクロンを用いた粒子状物質捕集装置のスケールアップ

3.3. 小型開閉型サイクロン内部のCFD解析

 3.3.1. 解析結果

流体シミュレーションの諸条件は以下の通りとした。

▽数値モデル

・ソフトウエア:OpenFOAM v9 (https://openfoam.org)

・方法:定常、非圧縮、単相(流体)

・乱流モデル:Reynolds-averaged Navier Stokes (RANS)、kOmegaSST

▽使用 PC

・CPU:AMD Ryzen9 7950X 4.50 GHz 16C/32T (RAM 128 GB)

▽流体物質

・密度:1.2 kg/m3

・粘度:1.8×10-5 Pa s

▽メッシュ

・要素数:130,595

・ベースの要素:1 mm

・壁面近傍のメッシュ層数:4

・拡大率:1.0

 K-TRiC の小型サイクロンの諸元を設定し、サイクロン内部の流体挙動を解析した結果を Fig. 1 に示す。これより、操作流量に応じたサイクロン内部の流体シミュレーション結果が得られることがわかった。今後は粒子シミュレーションを実施し、さらに計算結果と実測値の比較を実施する予定である。

Fig. 1. 製作した小型サイクロン(開閉型)の写真と流体シミュレーションの結果

過去に実施した主要な試験研究と共同研究

研究期間(年度) 試験研究 共同研究
1963ー1979 新しい電子式タクシーメータシステムの開発
1987ー1990 火花点火機関における燃焼ガス温度の測定
風向・風速データ統計処理装置の開発
1993-1999 電力回生式三相交流誘導電気動力計の開発
2003ー2009 動力計の新しい方式に関する基礎研究
2010-2015 太陽光発電に於ける発電効率改善の研究
2012-2016 高出力化が可能な熱電変換の研究
2016-2020 高速&低温メタン化でCO2の削減と利活用を図る構造体触媒変換システムの開拓
2019-2020 小型木材チップ製造機の調査・開発
2022~ 粒子状物質の有害性評価のための大流量開閉式サイクロン装置の開発実用化

 年次報告書の発行年度別のリストである。実施年度は、1年前である。実施されているが、報告されていない継続研究はのっていない。

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