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試験研究

目的

当財団の定款第4条第1項第(2)号に定める事業の一環として、工業技術の発明考案の実用化の試験研究及び提言事業を実施し我が国の工業技術水準の向上に寄与することを目的とする。

実績

令和6年度共同研究(慶應義塾大学理工学部応用化学科 奥田知明教授との共同研究)

1.研究テーマ

「粒子状物質の有害性評価のための気中粒子操作分析技術の応用」

2.研究の目的

慶應義塾大学理工学部応用化学科 奥田知明教授との共同研究を令和4年度より継続中である。本研究では、慶應大が保有するサイクロン技術を基礎に、特に高速回収技術およびコンパクト化に向けた改善策を実施した。慶応大学でのサイクロン内部の流れ解析を基礎に、サイクロンの改善を実施した。また、大きな空気流量が可能な電気集塵機による高速捕集を試験した。

3.サイクロン勉強会(4回)

  • 分割型サイクロンの片側を透明アクリル(元はSUS303)にしてサイクロン内の空気流を目視できる様に改造し実験をした。
  • ドーム型(サイクロン内上部平面を半球形)のサイクロンを製作し実験をした。
  • 電気集塵機の研究・開発されている水野 彰先生から、電気集塵機の荷電極アース板の腐食摩耗についてアドバイスを頂いた。

4.今年度の事業内容

大気中PM2.5微粒子の高速回収技術の開発

担当:半田幹人、安間 亘、佐々木春雄、大高祥男、須藤雅夫

1.奥田研式サイクロン(90L/min)の実施
  • 分割型サイクロンの片側を透明アクリルで製作をして、空気の流れを目視できる様に改造し、約62日(1486.5H)実験をして18mg捕集した。
  • 奥田研式サイクロンをドーム型に改造して、約62日(1486.5H)実験をして10mg捕集した。
  • 大気中のPM2.5(5μg/m3)として、サイクロン(90L/min)の理論捕集量は90日(2,160H)で58mgである。
2.540L/minサイクロン試験装置を設計・製作
  • 14日(336H)を1セットとして5回行った。90L/minの6倍の540L/minなので90日の約1/6として14日に設定した。PM2.5の理論捕集量は、54mgである。微粒子をサイクロン排気管長さL=30mm(1回目)で39mg、L=20mmで10mg、L=40mmで20mg、L=30mm(2回目)で48mg、L=30mm(3回目)で62mgをそれぞれ捕集した。最適な排気管長さは30㎜であった。
3.電気集塵機(アマノ製オイルミストコレクターEM-8eⅢ)を使用してPM2.5微粒子の回収を実施
  • 1. 新館1階軒下、標準の金属フィルターと荷電極アース板材アルミ、19.4日(464.5H)で685mg捕集。
  • 2. 同上場所、金属フィルターを不織布Ps/600N(以後使用)に交換して同上荷電極アース板、25日(600H)で987mg捕集。
  • 3. 同上場所、同上フィルター、同上荷電極アース板、目張り追加、19.1日(459H)で845mg捕集。
  • 4. 旧館実験室、同上フィルター、同上荷電極アース板、目張りあり、19.1日(459H)で779mg捕集。
  • 5. 旧館実験室、同上フィルター、同上荷電極アース板、目張りあり、9日(216H)で258mg捕集。
  • 6. 旧館実験室、同上フィルター、荷電極アース板材SUS304、目張りあり、9日(216H)で38mg捕集。
  • 7. 旧館実験室、同上フィルター、荷電極アース板材金メッキ0.1μm、目張りあり、9日(216H)で129mg捕集。

電気集塵機の捕集粒子の成分分析から、すべてのサンプルに電極金属の成分Al, SUS, Auが混入していた。極板金属を除いた捕集量は、PM2.5の理論捕集量に比べ低い値だった。

過去に実施した主要な試験研究と共同研究

年次報告書の発行年度別のリストである。実施年度は、1年前である。実施されているが、報告されていない継続研究はのっていない。

過去に実施した主要な試験研究と共同研究の一覧
研究期間(年度) 試験研究 共同研究
1963-1979 新しい電子式タクシーメータシステムの開発  
1987-1990 火花点火機関における燃焼ガス温度の測定  
風向・風速データ統計処理装置の開発  
1993-1999 電力回生式三相交流誘導電気動力計の開発  
2003-2009   動力計の新しい方式に関する基礎研究
2010-2015 太陽光発電に於ける発電効率改善の研究  
2012-2016   高出力化が可能な熱電変換の研究
2016-2020   高速&低温メタン化でCO2の削減と利活用を図る
構造体触媒変換システムの開拓
2019-2020 小型木材チップ製造機の調査・開発  
2022   粒子状物質の有害性評価のための大流量開閉式サイクロン装置の開発実用化
2023~   粒子状物質の有害性評価のための気中粒子操作分析技術の応用