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2025.12.08

【第8 回 天野フォーラム 】

1. 開催概要

令和7 年11 月21 日(金)、ホテルクラウンパレス浜松 3 階「松の間」において
第8 回天野フォーラムを開催いたしました。本フォーラムは、公益財団法人天野工業技術研究所が主催し、大学院後期博士課程奨学生および研究助成対象者による研究成果を広く発信する場として毎年実施しているものです。
当日は、会場およびオンラインあわせて約63 名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに開会いたしました。

2. 大学院後期博士課程奨学生による研究成果発表

● 1. 秋元 美咲(日本大学大学院 理工学研究科 博士後期課程 まちづくり工学専攻)

「T 字型杖使用者の安全な歩行に向けた杖の滑りやすさ特性と歩きやすい路面の評価に関する研究」
秋元氏からは、T 字杖の使用者が歩行時に感じる滑りやすさについて、路面条件による摩擦特性の違いを分析した研究成果をご報告いただきました。会場からはロコモ度を決める方法や、摩擦係数の計算方法などさまざまな質問が寄せられ、関心度の高さが見えました。
高齢者の安全な歩行を支援する取り組みとして、今後の展開が期待されます。

● 2. 渡邊 晶斗(東北大学 大学院工学研究科 応用化学専攻)

「金属装荷型液体シンチレーターへの応用のための金属酸化物ナノ粒子の界面及び分散性制御に関する研究」
渡邊氏からは、発光材料としての利用を目的とした金属酸化物ナノ粒子の界面特性改善に関する研究成果をご紹介いただきました。
会場からは発光効率の昇降の理由、下がった時どのくらいまでなら使えるのかとか、量産化はどのように考えているのかなど関心が寄せられました。
材料科学の分野において応用可能性の高い取り組みであり、注目を集めておりました。

3. 令和5 年度 研究助成 成果発表

● 1. 久本 秀明(大阪公立大学 大学院工学研究科 応用化学分野)

「極限効率発光型/ 科学センシング 蛍光色素液体ナノ油滴の開発と超高度簡易診断デバイスの創製」
久本氏より、応用を見据えた蛍光ナノ油滴の開発状況をご報告いただきました。
効果的な検出手法の確立に向けた基盤的研究が着実に進んでいることが示されました。

● 2. 倉科 佑太 准教授(東京農工大学)

「超音波重畳照射による核酸医薬品の経皮的無芯投与」
倉科氏からは、超音波を利用することで注射器を用いずに薬剤を投与する技術について、実験結果とともにご説明いただきました。
医療現場での応用が期待される重要な研究であると感じられました。

● 3. 岩田 太 教授(静岡大学)

「レーザー支援電気泳動堆積法によるマイクロ3D プリンティングの高精度化」
岩田氏からは、レーザーを用いた微細加工技術の高度化について具体的な成果をご発表いただきました。
微細構造体の製造技術として、幅広い応用可能性が示された発表となりました。

4. 特別講演

奥田 知明 教授 (慶應義塾大学理工学部 応用化学科)

「粒子状物質の有害性評価のための気中粒子操作分析技術の応用」
奥田教授には、環境中に存在する微小粒子の挙動とその測定技術について、最新の研究成果をご講演いただきました。
精密な粒子操作技術が有害性評価に寄与する点など、大変示唆に富む内容となりました。

5. 参加者の声

参加者の皆様からは、

  • 「若手研究者の発表が大変参考になった」
  • 「幅広い分野の研究成果に触れられ有意義だった」
  • 「特別講演が実務にも活かせる内容だった」

といったご感想を多数頂戴いたしました。

6. 総括

本フォーラムを通じ、奨学生ならびに助成研究者の皆様の日頃の研究成果をご紹介することができ、大変有意義な機会となりました。当財団の活動が、研究者の皆様の挑戦を支える一助となれば幸いに存じます。
今後も、技術研究の発展と人材育成に貢献できますよう、継続して取り組んでまいります。
引き続き皆様のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

7. 懇親会

フォーラム終了後参加者の交流を兼ねて懇親会が催されました。